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表面粗さRaとは?測定方法・図面指示・加工方法別の目安値

精度・公差ガイド
POINT MAP 表面粗さRaとは?測定方法・図面指示・加工方法別の目安値の判断軸
1. 技術要件対応素材・加工方式・精度条件を整理
2. 品質管理公差、測定方法、検査体制を確認
3. 発注条件数量、納期、図面、見積条件を比較

表面粗さRaとは|定義と読み方

Ra(算術平均粗さ)の計算方法

Raは、粗さ曲線から基準長さ(カットオフ値)の区間を抜き取り、その平均線からの偏差の絶対値を平均した値だ。JIS B 0601:2013で定義されている。

簡単に言えば、「加工面の凸凹の平均的な高さ」を表す。値が小さいほど面が滑らかで、大きいほどザラついている。

単位はμm(マイクロメートル)。Ra 1.6は「平均的な凸凹が1.6μmの高さ」という意味だ。

Rz・Rmax・Rtとの違い

表面粗さのパラメータはRa以外にも複数ある。用途に応じて使い分ける。

パラメータ 名称 定義 使い分け
Ra 算術平均粗さ 平均線からの偏差の絶対値の平均 最も一般的。汎用的に使用
Rz 最大高さ粗さ 最大山高さと最大谷深さの和 シール面・Oリング溝など気密性が重要な箇所
RzJIS 十点平均粗さ 最大山5つと最大谷5つの平均値の差(旧JIS) 旧図面で使用。現行JISでは非推奨
Rt 総高さ 輪郭曲線の最高点と最低点の差 極端な突起の有無を確認する場合

注意: 旧JIS(B 0601:1994以前)のRzは「十点平均粗さ」を指していたが、現行JIS(B 0601:2013)のRzは「最大高さ粗さ」を指す。旧図面と現行図面でRzの定義が異なるため、混同しないよう注意が必要だ。


JIS B 0601に基づく表面粗さの表記

図面への指示方法

表面粗さの図面指示は、JIS B 0031:2003(製品の幾何特性仕様 — 表面性状の図示方法)に基づく記号で行う。

基本記号は以下の3種類だ。

記号 意味
基本記号(チェックマーク形) 表面性状を指示する面に付ける
除去加工を行う記号 切削・研削など材料を除去する加工を指定
除去加工を行わない記号 鋳肌・鍛造面などそのまま使用

記号の上部にRa値を記入する。例えば「Ra 1.6」と記入すれば、その面の算術平均粗さが1.6μm以下であることを要求する意味になる。

表面粗さの標準数列

JIS B 0601では、Ra値の標準数列が定められている。図面指示にはこの標準数列の値を使用する。

Ra(μm) 用途の目安
0.012 超精密面(光学部品・ゲージ面)
0.025 超精密面
0.05 精密摺動面・シール面
0.1 精密仕上げ面
0.2 高精度仕上げ面
0.4 一般仕上げ面(摺動面)
0.8 一般仕上げ面
1.6 標準的な仕上げ面
3.2 粗仕上げ面
6.3 荒加工面
12.5 鋳肌・鍛造肌
25 未加工面

加工方法別のRa値目安

切削加工(旋盤・フライス)

加工方法 達成可能なRa範囲 一般的な仕上がり
旋盤加工(粗加工) Ra 3.2〜12.5 Ra 6.3
旋盤加工(仕上げ) Ra 0.8〜3.2 Ra 1.6
フライス加工(粗加工) Ra 3.2〜12.5 Ra 6.3
フライス加工(仕上げ) Ra 0.8〜3.2 Ra 1.6
マシニングセンタ(高精度) Ra 0.4〜1.6 Ra 0.8

切削加工では、送り速度・切込み量・工具のノーズ半径が表面粗さに影響する。Ra 0.8以下を切削だけで安定的に得ることは困難で、研削やラッピングが必要になる。

研削加工

加工方法 達成可能なRa範囲 一般的な仕上がり
平面研削 Ra 0.1〜1.6 Ra 0.4
円筒研削 Ra 0.1〜1.6 Ra 0.4
内面研削 Ra 0.2〜1.6 Ra 0.8
センタレス研削 Ra 0.2〜1.6 Ra 0.4

研削加工は、砥石の粒度・ドレッシング条件・送り速度によってRa値をコントロールできる。Ra 0.2以下を安定して得るには、超仕上げ用の砥石と恒温環境が必要だ。

放電加工

加工方法 達成可能なRa範囲 一般的な仕上がり
形彫り放電加工 Ra 0.8〜12.5 Ra 3.2
ワイヤーカット放電加工 Ra 0.4〜3.2 Ra 1.6

放電加工の表面には放電痕(クレーター)が残るため、鏡面仕上げが必要な場合は後工程で研磨が必要だ。

ラッピング・ポリッシング

加工方法 達成可能なRa範囲 一般的な仕上がり
ラッピング Ra 0.012〜0.1 Ra 0.05
ポリッシング(バフ研磨) Ra 0.012〜0.05 Ra 0.025
電解研磨 Ra 0.05〜0.4 Ra 0.1

光学部品やシール面など、Ra 0.1以下が要求される場合に用いる。加工コストは研削の数倍以上になることが多い。

バレル研磨・ショットブラスト

加工方法 達成可能なRa範囲 用途
バレル研磨 Ra 0.2〜3.2 バリ取り・角R付け・光沢出し
ショットブラスト Ra 3.2〜25 スケール除去・表面硬化

これらは寸法精度を出す加工ではなく、表面処理・外観改善が目的だ。


表面粗さの測定方法

接触式測定(触針式粗さ計)

先端半径2〜5μmのダイヤモンド製スタイラス(触針)で加工面をなぞり、表面の凹凸プロファイルを電気信号に変換して計測する。最も普及している方法だ。

代表的な測定機はミツトヨのサーフテストや東京精密のサーフコムがある。

非接触式測定(レーザー・干渉計)

レーザー光やホワイトライト干渉を使って、非接触で表面形状を3次元的に測定する。触針で傷がつく恐れがある軟質素材やコーティング面に有効だ。

測定時の注意点

測定方向: 粗さが最も大きくなる方向(通常は加工痕と直角の方向)で測定する

カットオフ値: Ra値に応じて適切なカットオフ値を設定する(JIS B 0601で規定)

測定回数: 同一面の異なる位置で3回以上測定し、平均値を使用する


設計者のためのRa値指定ガイド

機能面と非機能面での使い分け

すべての面にRa指定を行う必要はない。コストを抑えるために、機能面と非機能面を明確に区分する。

面の種類 推奨指定 理由
摺動面(他部品と接触して動く面) Ra 0.4〜0.8 摩擦低減・摩耗防止
シール面(Oリング・ガスケット当たり面) Ra 0.4〜1.6 気密性確保
嵌合面(はめあい部) Ra 0.8〜1.6 寸法精度との整合
基準面(組立時の基準となる面) Ra 0.4〜0.8 平面度・直角度の確保
外観面 Ra 0.8〜1.6 見た目の仕上がり
非機能面 指定なし or Ra 6.3 コスト削減

過剰な粗さ指定によるコスト増を避けるには

Ra指定を1段階厳しくすると、加工コストは20〜50%増加することがある。以下を自問してから指定する。

この面は本当にRa 0.4が必要か? Ra 0.8で機能を満たせるなら研削1回分のコストが削減できる

Ra 0.1以下が必要な面は何箇所あるか? ラッピング工程を追加する面は最小限にする

全面指定にしていないか? 非機能面に粗さ指定がなければ加工メーカーは効率的な加工順序を選べる

よくある設計ミスと回避策

ミス 影響 回避策
全面にRa 0.8を指定 非機能面まで研削が必要になりコスト増 機能面のみに指定。他面は「加工面なり」
RzとRaを混同して指定 測定値が大きく異なり品質トラブル パラメータの種類を図面上で明記
旧JIS記号を使用 メーカーで解釈が分かれる 現行JIS(B 0601:2013)の記号を使用
カットオフ値を未指定 測定条件が不統一に Ra値に応じたカットオフ値を明示

まとめ|Ra値指定の判断フロー

1. その面は機能面か? → No → 粗さ指定不要(コスト削減)

2. どの機能に寄与するか? → 摺動 / シール / 嵌合 / 基準 / 外観を特定

3. 機能に必要な最低限のRa値は? → 上記テーブルを参照

4. 指定したRa値は加工方法で達成可能か? → 加工別目安テーブルで確認

5. Ra以外のパラメータ(Rz等)も必要か? → シール面はRzも指定を検討


参考規格・文献

– JIS B 0601:2013 製品の幾何特性仕様(GPS)— 表面性状: 輪郭曲線方式 — 用語、定義及び表面性状パラメータ

– JIS B 0031:2003 製品の幾何特性仕様(GPS)— 表面性状の図示方法

– JIS B 0633:2001 製品の幾何特性仕様(GPS)— 表面性状: 輪郭曲線方式 — 表面性状評価の方式及び手順


*この記事は精密加工ジャーナル編集部が作成しました。記載内容は執筆時点の情報に基づいています。*

発注前チェックリスト

  • 図面・材質・公差・表面処理の指定が揃っているか
  • 同等加工の実績、検査設備、品質保証体制を確認したか
  • 見積条件に納期、ロット、追加費用、再加工条件が含まれているか

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