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石英ガラス加工の方法と対応メーカー比較ガイド

ガラス・セラミックス・複合材
POINT MAP 石英ガラス加工の方法と対応メーカー比較ガイドの判断軸
1. 技術要件対応素材・加工方式・精度条件を整理
2. 品質管理公差、測定方法、検査体制を確認
3. 発注条件数量、納期、図面、見積条件を比較

石英ガラスとは|一般ガラスとの違い

石英ガラスの物性

物性項目 石英ガラス ソーダライムガラス
SiO2含有率 99.9%以上 約72%
軟化点 約1,680°C 約700°C
線膨張係数 0.55×10⁻⁶ /K 8.5×10⁻⁶ /K
紫外線透過 185nmから透過 300nm以下は吸収
耐薬品性 フッ酸以外にほぼ不溶 酸・アルカリに侵される

石英ガラスの最大の特徴は、極めて低い線膨張係数(一般ガラスの約1/15)だ。急激な温度変化にも割れにくく、半導体製造のような温度サイクルが激しい環境で安定して使用できる。

合成石英と溶融石英の違い

石英ガラスは製造方法によって2種類に大別される。

種類 製造方法 純度 主な用途
溶融石英 天然水晶を2,000°C以上で溶融 99.9〜99.99% 半導体用治具・理化学器具
合成石英 四塩化ケイ素(SiCl4)のCVD法 99.999%以上 フォトマスク・光学部品・紫外線光学系

合成石英は溶融石英より純度が1桁以上高く、紫外線透過率も優れるため、エキシマレーザー用光学系やフォトリソグラフィ用マスク基板に使われる。ただし素材単価は溶融石英の3〜10倍だ。


石英ガラスの加工方法

精密切断(ダイシング・ウォータージェット)

ダイシング: ダイヤモンドブレードで石英ガラスを精密に切断する。半導体ウェハーと同等の精度(±0.05mm以下)で切断が可能だ。切断面にはチッピングが生じるため、後工程でラッピングまたは研磨を行う。

ウォータージェット: 超高圧水+研磨材で切断する。熱影響がなく、複雑な外形切断に対応できるが、切断面の面粗さはダイシングに劣る。厚板(10mm以上)の切断にも対応可能だ。

研磨・ラッピング(光学グレード仕上げ)

石英ガラスの研磨は、用途に応じて複数の工程を経る。

工程 砥粒・研磨材 達成面粗さ 用途
粗研削 ダイヤモンド砥石 Ra 1〜5μm 形状成形
ラッピング Al2O3(酸化アルミ) Ra 0.1〜0.5μm 半仕上げ
ポリッシング CeO2(酸化セリウム) Ra 0.01μm以下 光学仕上げ

光学グレードの面精度(λ/4以下、λ=632.8nm)を要求される場合、ポリッシング工程が必須となる。研磨パッドの素材・研磨圧・回転速度・スラリー濃度の管理が品質を左右する。

穴あけ・溝加工(超音波加工・レーザー)

石英ガラスは脆性材料であるため、穴あけ時のクラック発生リスクが高い。

超音波加工: ダイヤモンドコアドリルに超音波振動を付加し、応力を分散させながら穴あけを行う。φ0.3mmの微細穴から、φ50mm以上の大口径まで対応可能だ。

レーザー加工: フェムト秒レーザーやCOレーザーで穴あけ・溝加工を行う。非接触のため機械的応力がなく、微細加工に適している。ただし厚板への深穴加工は困難だ。

溶接・火炎加工

石英ガラスは酸水素バーナー(約2,000°C)で軟化させ、溶接・曲げ・吹きガラス成形が可能だ。管状の石英ガラス製品(反応管・フローチューブ等)はこの火炎加工で製造される。

熟練の職人技が求められる工程であり、自動化が難しい分野だ。国内では数十年の経験を持つ職人が在籍するメーカーが対応している。


用途別の加工事例

半導体製造装置(ウェハーボート・チャンバー窓)

半導体製造工程では、石英ガラス製の治具・部品が多数使われる。

ウェハーボート: シリコンウェハーを搭載して拡散炉に入れる治具。高温(1,100°C以上)に繰り返し晒されるため、溶融石英製が標準

チャンバー窓: プラズマCVD装置やエッチング装置の観察窓。耐プラズマ性と光学透過性が求められる

石英チューブ: 拡散炉の反応管。外径φ400mm以上の大型品もある

光学部品(レンズ・プリズム)

合成石英は紫外線領域(185nm〜)での高い透過率を活かし、以下の光学部品に使われる。

– エキシマレーザー用レンズ(半導体露光装置のキーコンポーネント)

– 紫外線分光器用窓・プリズム

– 望遠鏡用ミラー基板

分析機器(セル・フローチューブ)

分光光度計用の石英セル(キュベット)は、光路長精度±0.01mm、透過面のRa 0.01μm以下が標準的な要求だ。フローチューブ(連続分析用の管状セル)は火炎加工で成形した後、光学研磨で仕上げる。


発注先の選び方

素材調達力

石英ガラスの素材メーカーは国内では限られている。主要メーカーは信越石英、東ソー・クォーツ、MARUWA、テクノクォーツなどだ。加工メーカーがこれらの素材メーカーと安定した取引実績を持っているかは、リードタイムとコストに直結する。

加工精度のレベル

精度レベル 代表的な加工内容 メーカーの対応範囲を確認
一般加工 管の切断・面取り 多くのガラス加工メーカーが対応
精密加工 穴あけ・溝加工・ラッピング 石英ガラス専門メーカーに限定
超精密加工 光学研磨・合成石英の加工 国内でも数社に限定

国内対応メーカーの比較ポイント

対応素材: 溶融石英のみか、合成石英にも対応しているか

火炎加工の対応: 管状・異形品の成形ができるか

クリーンルーム設備: 半導体用途の場合はISO 14644クラス100以上が必要

品質認証: ISO 9001は最低条件。半導体向けはISO 14644、医療向けはISO 13485

最大加工サイズ: 大型チューブ・大口径ウィンドウに対応できるか


コスト・納期の目安

石英ガラス加工の費用構造

コスト要素 内容
素材費 石英ガラスの素材費は総コストの30〜60%を占める。合成石英は溶融石英の3〜10倍
加工費 研磨工程が多いほどコスト増。光学グレード研磨は一般研削の5〜10倍
検査費 干渉計測定・透過率測定は追加費用
ロット 1個試作 vs 50個量産で単価2〜4倍の差

素材費の比率と市場動向

石英ガラスの原料(天然水晶・高純度ケイ砂)は産地が限定されており、半導体市場の需給によって素材価格が変動する。半導体景気が好調な時期は素材の納期が延びる傾向がある。

加工内容 試作(1〜5個) 量産(50個〜)
管切断+面取り 3〜5営業日 1〜2週間
穴あけ+ラッピング 1〜2週間 2〜4週間
光学研磨仕上げ 3〜6週間 6〜10週間
火炎加工(異形品) 2〜4週間 4〜8週間

素材調達期間として別途1〜4週間が必要な場合がある。


発注時の注意点

素材グレードの指定方法

「石英ガラス」だけでは不十分。以下を明記する。

種類: 溶融石英 or 合成石英

純度グレード: 例: 99.99%(4N)/ 99.999%(5N)

メーカー指定: 特定メーカーの素材を指定する場合は品番を明記

OH基含有量: 光学用途ではOH基含有量が透過率に影響するため指定が必要

破損リスクと検査基準の合意

石英ガラスは一般ガラスより破損しにくいが、加工中・輸送中のリスクはゼロではない。以下を事前に合意する。

– 加工中の破損発生時の費用負担(素材費含む再製作の負担配分)

– 外観検査の基準(スクラッチ・気泡・インクルージョンの許容範囲)

– 寸法検査の方法と精度(三次元測定機 or 非接触測定)

– 梱包仕様(個別包装・緩衝材・湿度管理の要否)


まとめ

石英ガラスは高純度・耐熱・紫外線透過という特性から、半導体・光学・分析の各分野で不可欠な素材だ。発注前に以下を確認しておくとスムーズに進む。

– [ ] 石英ガラスの種類(溶融石英 / 合成石英)と純度グレード

– [ ] 加工方法の選定(切断 / 研磨 / 穴あけ / 火炎加工)

– [ ] 要求精度と面仕上げ(一般 / 精密 / 光学グレード)

– [ ] 対応メーカー2〜3社への見積依頼

– [ ] 素材調達のリードタイム確認

– [ ] 検査基準と破損リスクの事前合意


参考規格・文献

– JIS R 3503:2017 化学分析用ガラス器具

– JIS B 7431:2009 光学部品の面精度

– ISO 14644 クリーンルームの清浄度規格

– ISO 9001:2015 品質マネジメントシステム


*この記事は精密加工ジャーナル編集部が作成しました。記載内容は執筆時点の情報に基づいています。*

発注前チェックリスト

  • 図面・材質・公差・表面処理の指定が揃っているか
  • 同等加工の実績、検査設備、品質保証体制を確認したか
  • 見積条件に納期、ロット、追加費用、再加工条件が含まれているか

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