| 精度項目 | 一般精度 | 精密加工 |
|---|---|---|
| 外径公差 | ±0.02mm | ±0.005mm |
| 真円度 | 0.01mm | 0.003mm |
| 同軸度 | 0.02mm | 0.005mm |
| 表面粗さ | Ra 1.6μm | Ra 0.2μm |
シャフトの精度要件は、軸受(ベアリング)との嵌合精度に直結する。JIS B 0401の公差域クラスで「h6」「g6」「js6」等の指定が一般的だ。
| 種類 | 特徴 | 加工の難度 |
|---|---|---|
| ストレートシャフト | 全長にわたり同一外径 | 低〜中 |
| 段付きシャフト | 複数の外径を持つ | 中 |
| スプラインシャフト | 外周にスプライン溝 | 高 |
| 中空シャフト | 中心に穴がある軽量構造 | 中〜高 |
| 偏心シャフト | 中心がずれた構造 | 高 |
シャフト加工の主工程はCNC旋盤による外径切削だ。段付き形状・テーパー・ネジ切りなどを1チャッキングで加工できる。
複合加工機(ターニングセンタ)を使えば、旋削と同時にフライス加工(キー溝・Dカット・穴あけ)も行えるため、段取り替えなしで複雑形状のシャフトを完成できる。
旋盤加工後の仕上げ工程として、円筒研削が用いられる。
| 研削方式 | 特徴 | 適したシャフト |
|---|---|---|
| 円筒研削(センタ支持) | 高い同軸度。片端ずつセンタ穴を基準に研削 | 段付きシャフト・長尺品 |
| 心なし研削(センタレス) | 高い量産性。センタ穴不要 | ストレートシャフト・ピン |
精密軸受と嵌合するシャフトでは、円筒研削で真円度0.003mm以下を目指す。
シャフトの耐摩耗性・疲労強度を向上させるため、熱処理を施すことが多い。
| 熱処理 | 硬度目安 | 適用部位 |
|---|---|---|
| 高周波焼入れ | HRC50〜60 | 軸受嵌合部・摺動面 |
| 調質(焼入れ+焼戻し) | HRC25〜35 | 全体の強度向上 |
| 窒化処理 | HV700〜1,000(表面) | 耐摩耗・耐疲労 |
| 浸炭焼入れ | HRC58〜63(表面) | 高荷重歯車軸 |
高周波焼入れは「必要な部分だけ」硬化できるため、軸受嵌合部のみ硬化し、キー溝部は被削性を保つ設計が可能だ。
| 表面処理 | 目的 | 膜厚目安 |
|---|---|---|
| 硬質クロムめっき | 耐摩耗・耐食 | 10〜100μm |
| 無電解ニッケルめっき | 均一膜厚・耐食 | 5〜50μm |
| DLCコーティング | 低摩擦・耐摩耗 | 1〜5μm |
| 黒染め | 防錆(簡易) | 1〜2μm |
硬質クロムめっき後は研磨仕上げを行い、所定の寸法・面粗さに仕上げる。
最も一般的なシャフト素材。切削性が良好で、調質・高周波焼入れとの相性もよい。S45Cは汎用シャフト、SCM435は高強度シャフトに使われる。
耐食性が求められる環境(食品機械・化学装置・医療機器)で使われる。SUS304は加工硬化しやすく、切削速度を抑える必要がある。SUS316は耐食性がさらに高い。
航空宇宙・医療用途ではチタン合金(Ti-6Al-4V)やインコネルのシャフトが使われる。専門的な加工ノウハウが必要であり、対応メーカーが限られる。
| 確認項目 | 一般的な対応範囲 |
|---|---|
| 外径 | φ5〜φ300mm |
| 長さ | 〜1,500mm |
| L/D比 | 10以下が一般的。10超はびびり対策が必要 |
長尺シャフト(L/D比10超)は旋盤加工中の「びびり」(振動)が問題になるため、対応経験のあるメーカーを選ぶ。
旋盤→研削→熱処理→表面処理の4工程を一貫で対応できるメーカーは、品質管理と納期の面で有利だ。外注に出す工程が多いほど、中間検査の手間とリードタイムが増える。
– 三次元測定機の保有
– 真円度測定機の保有(精密軸受嵌合部の測定用)
– 材料証明書(ミルシート)の提出対応
– ISO 9001認証
| 加工内容 | 試作(1〜5本) | 量産(100本〜) |
|---|---|---|
| ストレートシャフト(旋盤のみ) | 3〜5営業日 | 1〜2週間 |
| 段付きシャフト(旋盤+研削) | 1〜2週間 | 2〜3週間 |
| 段付き+熱処理+研削 | 2〜3週間 | 3〜5週間 |
| 全工程一貫(旋盤→熱処理→研削→めっき→仕上研削) | 3〜5週間 | 5〜8週間 |
– 軸受嵌合部には公差域クラス(例: φ30h6)を必ず指定
– 真円度・同軸度はデータム基準を明示
– 表面粗さは機能面のみにRa指定(非機能面は「旋削面なり」)
– キー溝の幅・深さ公差をJIS B 1301に基づき指定
試作(1〜5本)は小ロット対応の汎用加工メーカー、量産(100本以上)は専用ラインを持つ量産メーカーに分けることで、コスト最適化が図れる。
– [ ] シャフトの種類と精度要件の明確化
– [ ] 素材の選定(S45C/SCM435/SUS/チタン等)
– [ ] 加工工程の設計(旋盤→研削→熱処理→表面処理)
– [ ] 図面への幾何公差の記載(公差域クラス・データム基準)
– [ ] 対応メーカー2〜3社への見積依頼
– [ ] 一貫加工 vs 分業の判断
– JIS B 0401:2016 寸法公差及びはめあいの方式
– JIS B 1301:2016 キー及びキー溝
– JIS G 4051:2016 機械構造用炭素鋼鋼材
– ISO 9001:2015 品質マネジメントシステム
*この記事は精密加工ジャーナル編集部が作成しました。記載内容は執筆時点の情報に基づいています。*