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NC旋盤加工の基礎と精度指定のポイント

旋盤加工
POINT MAP NC旋盤加工の基礎と精度指定のポイントの判断軸
1. 技術要件対応素材・加工方式・精度条件を整理
2. 品質管理公差、測定方法、検査体制を確認
3. 発注条件数量、納期、図面、見積条件を比較

NC旋盤加工とは|CNC旋盤との違いと基本原理

NC旋盤の仕組みと加工原理

NC旋盤(Numerical Control旋盤)は、数値制御によってワークを回転させながら切削工具を自動送りする加工機だ。プログラムに座標値・送り速度・主軸回転数を入力することで、人手を介さず高精度な旋削加工を実現する。

加工の基本動作は以下の通りだ。

動作要素 内容 制御パラメータ
主軸回転 ワークをチャックで把持し高速回転 回転数(rpm)
工具送り バイトをZ軸(長手)・X軸(径方向)に移動 送り速度(mm/rev)
切り込み 1パスあたりの削り量を設定 切り込み深さ(mm)

NC旋盤とCNC旋盤の違い

現場で「NC旋盤」と「CNC旋盤」が混同されることが多い。厳密には以下の違いがある。

比較項目 NC旋盤 CNC旋盤
制御方式 ハードワイヤード回路による数値制御 コンピュータ(CPU)による数値制御
プログラム変更 配線変更・紙テープ入替が必要 ソフトウェア上で即座に書き換え可能
補正機能 限定的 工具摩耗補正・座標系シフト等が充実
現在の普及状況 旧式機として一部稼働 現行機のほぼ全てがCNC方式

実務上、現在稼働している「NC旋盤」のほとんどはCNC方式だ。発注仕様書に「NC旋盤加工」と記載された場合もCNC旋盤での加工を想定してよい。

NC旋盤で対応できる加工の種類

外径加工・内径加工・端面加工

NC旋盤の基本加工は、ワーク外周を削る外径加工、内径を拡げるボーリング加工、端面を仕上げるフェーシング加工の3種類だ。これらを組み合わせることでシャフト・スリーブ・フランジなどの回転体部品を製作できる。

ねじ切り・溝入れ・突切り

NC旋盤は主軸回転と送りの同期制御により、高精度なねじ切り加工が可能だ。溝入れ加工ではOリング溝やスナップリング溝を公差±0.02mm以内で加工する。突切り加工はバー材から個々の部品を切り離す工程で、量産加工のサイクルタイムに直結する。

複合加工(ミーリング機能付きNC旋盤)

近年の複合加工機(ターニングセンタ)は、旋盤主軸に加えてミーリング主軸を搭載する。キー溝加工・偏心穴加工・六角加工など、従来はマシニングセンタに移して行っていた工程を1台で完了できる。段取り替えの削減により、リードタイム短縮とコストダウンが期待できる。

NC旋盤加工の精度と仕上げ面粗さ

達成可能な寸法精度の目安

加工内容 一般精度 高精度加工
外径寸法 ±0.02mm ±0.005mm
内径寸法 ±0.03mm ±0.01mm
全長 ±0.05mm ±0.02mm
真円度 5μm以下 1μm以下
表面粗さ Ra 1.6〜3.2μm Ra 0.4〜0.8μm

高精度加工を実現するには、主軸の振れ精度・工具の剛性・切削条件の最適化が必須だ。図面で公差を指示する際は、上記の標準的な達成精度を踏まえて現実的な値を設定することが重要になる。

関連記事: 表面粗さRaとは?測定方法・図面指示・加工方法別の目安値

NC旋盤加工の発注時に確認すべきポイント

図面指示のチェックリスト

NC旋盤加工を外注する際、以下の項目を図面・仕様書に明記することでトラブルを防げる。

素材選定と加工性の関係

素材分類 代表材質 NC旋盤での加工性 注意点
炭素鋼 S45C, S50C ◎ 良好 調質材は硬度注意
ステンレス SUS304, SUS316 ○ やや難 加工硬化に注意。切削速度を下げる
アルミ合金 A5052, A6061 ◎ 良好 構成刃先に注意。高速切削が有効
銅・真鍮 C3604, C1100 ◎ 良好 切りくず処理に注意
チタン Ti-6Al-4V △ 難削材 低速・高送り・十分な冷却が必要
耐熱合金 インコネル718 × 難削材 専用工具・特殊クーラントが必須

関連記事: インコネル加工の方法と発注時の注意点ガイド

NC旋盤加工業者の選定基準

設備・能力の確認ポイント

加工業者を選定する際は、以下の観点で設備と対応力を確認する。

確認項目 具体的な質問例 判断の目安
保有機種 どのメーカーの何軸機か オークマ・森精機・シチズン等の主要メーカー機
最大加工径 チャック径・振り最大径は 自社部品の外径+余裕を確認
複合加工対応 ミーリング機能付きか 2次加工なしで完了できるか
量産対応力 月産何個まで対応可能か 自動棒材供給装置(バーフィーダ)の有無
品質管理 検査設備・ISO取得状況 三次元測定機・真円度測定機の保有

見積依頼時のコスト削減ポイント

NC旋盤加工のコストを左右する主な要因は以下の通りだ。

コストを抑えるには、機能上不要な寸法の公差を緩和する・複数部品をまとめて発注する・設計段階で旋削しやすい形状にする、といった工夫が有効だ。

関連記事: シャフト加工の方法と発注ガイド|材質・精度・メーカー選定

NC旋盤加工でよくあるトラブルと対策

NC旋盤加工では工具摩耗・熱変位・素材特性の見落としなどが原因で精度不良が発生することがあります。発注前に代表的なトラブルと対策を把握しておくことで、手戻りやコスト増加を未然に防ぐことができます。

加工精度不良の主な原因と対策

以下の表に、NC旋盤加工で頻発するトラブルとその主な原因・推奨対策をまとめました。図面への記載内容を工夫するだけで多くのトラブルを防ぐことができます。

トラブル 主な原因 推奨対策
直径寸法のばらつき 工具摩耗・熱変位による補正不足 工具交換サイクルの指定、補正サイクル設定を依頼
面粗さ(Ra値)の悪化 切削速度・送り量の不適切な設定 図面にRa値と測定方向を明記、仕上げ代0.1〜0.3mmを確保
同軸度・真円度の不良 チャッキング不良・心ずれ 両センタ支持・振れ止め使用を仕様に追加
内径加工のテーパ ボーリングバーのたわみ L/D比を3以下に抑える設計変更・剛性工具の指定
ネジ山精度不良 プログラムミス・素材硬さのばらつき 通り/止まりゲージによる検査を納品条件に指定

発注前の図面確認で防げるトラブル

加工業者へ図面を送付する前に以下の項目を確認することで、仕様の解釈違いや情報不足による手戻りを大幅に削減できます。

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